私たちは人と木を結び、

街と森の幸せを両立させた、

豊かな社会のために汗をかきます

森林と人の暮らしから

日本の森林は私たちの先祖が木を植え、育て、手入れをしながら守ってきた大切な財産でした。森林は丸太などの素材生産だけにとどまらない、広範な公益的機能を持った場であり、文明・文化の基層となっていたと思います。しかし時代が移りゆく中で、人々の暮らしからは山が姿を消し、森からの恩恵に気が付きにくい生活様式へと変化してゆきます。日本の森林はほぼ忘れられた存在となってしまいました。

しかし近年では、森林の様々な機能とその恩恵が人々に見直され、自然と共にある暮らしを実践しようとする人たちも増えてきました。かくいう私たちも各地の震災や原発事故などを目の当たりにしながら、結婚や出産といった節目に、自分たちにとって大切なものとは何かを問い直すなかで、その答えを「身近なものにきちんと寄り沿い生きること」だと思い至りました。

何気ない生活がとても豊かで幸福なものだと実感するためには、自然とともに歩んできた先祖の暮らしや思想を再発見することや、大量生産、大量消費の目まぐるしい経済から少し距離をおいて、じっくりと物事を育てるような感覚が必要なのかもしれません。そういった意味でも、木の仕事が潜在的に持っている価値観や時間感覚やサイクルは他産業に比べても特筆すべきものがあると思っています。このようなことを考えながら、日々の現場、日々の仕事を行い、樹木と人がともにある生活、自然に寄り添う暮らしの提案をするべく知恵をしぼり、様々なトライを続けています。