美しいヤドリギは海外では季節の飾りにも使われています。

ヨーロッパではヤドリギに対して伝説やファンタジーに満ちたきらめくようなワンダーイメージが定着しています。「ヤドリギの下では、男女はキスを交わしても良い」という諺もあり、冬のシーズンには各家の玄関にはヤドリギが吊され、その下を通ることは魔除けとも招福とも受け取られているようです。「クリスマスの植物」の代表である樅の木のクリスマスツリーや柊のリースにも負けない程のクリスマスと密接に結びついた植物だととらえられているのです。

ヤドリギは樹木に寄生する植物です。

このように素敵な印象のヤドリギですが、その生態も摩訶不思議。赤や黄色に色づいた実の中には、粘液に守られた種子が眠っています。鳥についばまれ、お腹の中で運ばれた種は糞とともに排出され、やがて木の幹や枝に付くことで発芽し、吸収根を発達させて宿主となった木から水分等を吸収し、宿主を弱らせます。
樹木の健康維持のためにはヤドリギを取り除くお手入れが必要なのです。しかし多くのヤドリギは大木の上部に生育するために、樹上高所作業の特殊な技術をもちいてアクセスしなければならず、それには多額な整備費用がかかるため、長年放置されてきました。そのため樹勢回復処置の遅れた大木の落枝事故等が起こり、それを理由に地域の大木が伐採されてしまうこともあります。

地域の宝である古木を守るために、ヤドリギは除去対象である一方、その実を餌とする鳥類など多くの動植物が織りなす生物多様性という輪の一端を担う大切な存在でもあります。ヤドリギの採取や宿主への樹勢の維持・回復処置を行うには、樹木や動植物に対する理解と、人間界と自然界との絶妙なバランスをとることのできる知識や経験が必要となります。弊社は地域の自然環境、地域文化を下支えする樹木を守りつつその下をゆきかう人の暮らしや安全を守るために、「その木、その場」に最良なバランスを見極め、適切な処置、施工で地域に資する整備を行ってゆきたいと考えています。

ヤドリギの生態をより詳しく知りたい方は

日本自然保護協会配布「落葉樹に宿るヤドリギを探そう!」

ご参照ください。

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ヤドリギ販売による売り上げを樹木の整備費用に充てることで、長年、大木の手入れが出来ずに困っていた地域の方々への助けとし、地域の宝である古木・大木を未来にのこしてゆく一助に出来たら。そんな思いで始まった取り組みですが、採取するヤドリギの状態は千差万別。様々な楽しみ方に耐えうる美しい個体は決して多くありません。そのため、販売で得られる売上だけでは本来の目的である「大木のケア」に十分な資金を得ることは難しく、今まで採取を行わせて頂いた場所では、弊社スタッフが妥当と判断する品質まで、費用を持ち出して整備を行うケースが多く、この取り組みの困難さを感じ続けてきました。

樹木への想いを持ち、高所作業を安全に遂行できる技術者のまなざしと汗がきちんと評価される方法とはどんなものだろうかと、何度も検討を重ねながら販売を行っています。そのため、商品の管理方法、価格、内容量、梱包、発送の方法なども変化する場合がございます。この意義ある取り組みを恒久的に続けてゆくためにも、ぜひご理解・ご協力を頂けたらと思っております。

一方、廃棄されるヤドリギが極力少なくなる取り組みもまた必要と感じ、美しいものは10㎝から販売することや実つきのわるい個体も美しい葉を持つものは割安で販売致したり、染色や飲料などへの有効利用も模索してゆくことにしました。信州の自然の中で育ったヤドリギを様々な方法で楽しんで頂けたらと願っています。